キャバ嬢をやっている人が頭を悩ませる問題として罰金制度があります。店の風紀を乱す行為はしてはいけないという理由で制度が設けられ、風紀はダメという言葉があるなど、風紀を乱す行為は業界全体のタブーにもなっています。
この場合における風紀とは、店の秩序を乱す行為となっています。
例えば、キャバ嬢がその店のボーイと付き合っているケースは明らかに風紀を乱す行為です。万が一、お客さんに発覚した場合は興ざめすることが考えられ、別のキャバ嬢からすれば嫉妬の原因にもなりかねません。すると、方々に迷惑がかかり風紀が乱されていくというのが懸念されるため、ペナルティを課すということになります。
罰金としてポピュラーなものには、無断欠勤、当日欠勤、遅刻などがあります。キャバ嬢で働く女性は時間にルーズであるという認識があるため、そうしたものが設定されており、無断欠勤の場合には数万円程度、当日欠勤は1万円程度、遅刻の場合には10分1000円といった感覚で罰金が決まっているところも珍しくありません。この遅刻という制度はキャバ嬢の手綱を締めるだけのものではなく、自己防衛の手段としても使えます。
例えば、同伴のお客さんが時間を引き延ばそうとした場合、遅刻になるとお金を取られちゃうからごめんなさいと断る口実に使うことが可能です。同伴を理由にした遅刻は少々なら許されるため、厳密にいえば多少の遅刻はどうにかなりますが、体よく断るためにも使われます。男性スタッフと付き合っていることが発覚すれば、その罰金は数十万円、最悪の場合は100万円にもなり、当然ながら店を
追い出されます。これらがポピュラーなものであり、他にも細かく設定しているところはあります。
対処法としていくつかの考え方があります。
そもそも罰金で徴収できる額には限度があるという考え方、もう1つはそうならないように行動するというものです。労働基準法では前もって罰金を取り決めるような契約はしてはいけないことになっており、仮にしたとしてもその契約は無効となります。
また、減給という形にする場合でも、日給で貰える分の半分、もしくは月給の1割以内であることが求められます。仮に月給50万円だったとしたら、減らされる限度額は5万円ということになります。男性スタッフなどと付き合う行為をし、100万円を仮に請求されたとしても無効であり、払う必要はありません。
一方、給料から勝手に天引きし、給料を支払わないというのも禁止されています。しかるべき対処法により未払い分を回収することになります。
もう1つの対処法は、無断欠勤などをしないというものです。
例えば、マジメにお店のために尽くしてくれるキャバ嬢に対して、当然ながら店側はちゃんとした対応をしようとしますが、ちゃらんぽらんなキャバ嬢に対しては厳しい対応にならざるを得ません。
その結果、同じ無断欠勤でも大目に見てもらえ、当日欠勤扱いにしてくれるケースやその前の日に連絡を入れたはずなのに当日欠勤扱いにさせられ徴収させられるケースもあります。学校で無遅刻無欠席が表彰され、サラリーマンの世界ではそれが当り前なように、キャバ嬢の世界においてもそうしたことを守っていれば少なくとも理不尽な思いをすることはまずありません。
遅刻の場合でもそれは同様です。
法律では一定の比率以上の徴収は禁止され、給料から天引きし、結果として未払いとなるようなものはダメとされていますが、多くのキャバクラ店ではこうしたことが行われています。
給料の未払い分として請求したとしても、半ば脅しのような口調で支払いに応じない、逆に脅したり、お店のお客さんなどを使って嫌がらせをしたりすることもあります。それを嫌って泣き寝入りしてしまうキャバ嬢も少なくありません。
また、恋愛が発覚した場合、お金を払うことを明記した示談書や借用書などを書かされることがありますが、この場合は民法により契約の取り消しが可能となるため、法律的には払う必要は全くありません。
そもそもその行為自体が刑事罰の対象となり、無理やり借用書を書かせる行為は強要罪に該当し、3年以下の懲役に、万が一お金を奪うということになれば恐喝罪となり、10年以下の懲役となってしまいます。
対処法として警察に相談に行くということを考える人がいますが、事件にならないと動けないのが警察であり、民事不介入を盾に動こうとはしません。
ただ、若干の揺さぶりによって忠告してもらうということは可能です。警察は自らの責任になることを恐れます。あなたが忠告しなかったからこんな目に遭ったではないかと後で言われるのが一番厳しく、出世にも響いてしまいます。あくまでアリバイ作りとして警察が動くよう仕向けるようにすればそれで十分です。
そこまで店側が深読みすることもありますが、そうした場合には弁護士やキャバ嬢で結成したユニオンに相談するなどして動いていくことになります。